2007年04月29日

組織が変われない本当の理由

 「変われない」組織の悲劇については、「変わらなければいけない理由」で述べました。それではどうして「変わらなければいけない」のに「変われない」のでしょうか。
 組織が変わらなければならないことを痛感しているリーダーは、変わる必要性をメンバーに訴え続けています。それにもかかわらず、変わることの出来る組織はまれです。その理由は何でしょうか。「本当の理由」に気づき、それに焦点をあわせて対応すれば確実に変わることが出来ます。
 「変われない本当の3つの理由」について考えてみましょう。変われない本当の3つの理由とは、@スコトマ Aゆでガエル B自己イメージです。

@スコトマ
 皆さんは自分は「事実をきちんと見ている・聞いている」と思っていますか。多くの人は、自分は目の前の事実をきちんと見ているし、人の話もちゃんと聞いているという自信をもっています。
 しかし、「時計の絵を描く」などの簡単なテストからも分ることですが、人は事実を見て(聞いて)いるのではなく、自分が見たいもの(聞きたいこと)を見たり聞いたりしているのです。逆に、見たくないもの、聞きたくないことは、見えず聞こえないものです。
 このように、自分にとっては見えない、聞こえない分野が誰にでも生じています。これをスコトマ(心理的盲点)と呼びます。人には誰でもその人特有のスコトマがあります。
 組織の変化を求める環境の変化や動向に対して、組織のリーダーやメンバーがスコトマをもっている場合があります。ときには、リーダーのスコトマが組織のスコトマになっていることがあります。

Aゆでガエル(現象)
 カエルを熱い湯のなかに入れるとびっくりして、跳びだしてしまうが、水の中に入れてゆっくりと加熱していくと、カエルはその温度変化に気づかずに茹で上がってしまう、ということをさして、「ゆでガエル現象」と呼びます。変化に気づかずに対応が遅れて手遅れになってしまっている組織の状態を説明する言葉としてしばしば使われています。
 なぜゆでガエル現象がおきるのでしょうか。全員が茹で上がってしまうまで誰も気づかないのでしょうか。
 実は人も組織も本来は保守的なのです。今の状態がよければ「変わりたくない」のが人であり組織なのです。会社でも、今までの事業、得意先(市場)、商品、仕事のやり方で今後ともやっていけるのであれば、誰も変えようとしません。変わりません。
 組織がゆでガエル状態になろうとしているときに、必ずメンバーの中には「ちょっとおかしいのでないか」「このままではいけない、変えなくてはいけないんじゃないか」と気づくものがいます。
ところがボス(リーダー)をはじめ多くのメンバーが「このままでいいじゃないか、何で変えなくてはいけないのだ、余計なことを言うな」と言ってこの発言を抑えてしまいます。組織の保守性のゆえんです。
 そこで気のきいたメンバーは組織を見限って跳びだしてしまい、残ったメンバーはもう何も言わなくなります。こうなると、組織は一路「茹で上がり」に向かって進んでいきます。

B自己イメージ
 リーダーが危機意識を持って「変化の必要性」をメンバーに訴えてメンバーもそれを理解して、変革の活動を開始しても長続きせずに頓挫してしまうケースが多く見られます。理屈で分っていても行動につながらないのです。
 「自分はこういう人間である」という、自分の性質、能力、資質などに関する評価を「自己イメージ」といいます。自己イメージには自分が明確に意識しているもの(顕在意識の自己イメージ)と、自分が明確には意識していないが主に潜在意識に蓄積されている自己イメージがあります。潜在意識下の自己イメージは、じつは顕在意識の自己イメージよりもはるかに強力で自己の行動に対する影響力を持っています。
 いままでの習慣を変えるような行動は、理屈で理解して「そうしよう」というだけでは必ずしも長続きしません。新しい行動に対して心のそこから「そうしたい、そうすることが自分にとって価値がある」と思われることでないと、他から言われてあるいは強制されて「やらねばならない」というようにして開始した新しい行動が長続きしないのは、その行動が「潜在意識の自己イメージ」に合致していないからです。長続きする行動とは、「潜在意識下の自己イメージ」が「自分に価値があり自分のふさわしい」と認める行動なのです。
 組織の変化をもたらす新しい行動を、各メンバーの「潜在意識の自己イメージ」に定着させる活動が必要になります。

 スコトマ、ゆでガエル現象、自己イメージの意味を理解して、それぞれに的確な対応をとることが、着実に組織変革を進める際の必要条件です。

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2007年04月19日

組織が変わらなければいけない理由

 人間も含めて生物は、成長期を過ぎておとなになると外見的にはあまり変化が見られなくなります。
 しかし、より長い時間で見れば成熟は「老化」と並行して進んでいることが分ります。生物は個体の誕生、成長、老化、死亡という生命のサイクルを繰り返す中で、種としての生命を遺伝子を通じてバトンタッチして、「永続的な命」をつなげようとしています。

 組織もしばしば人間になぞらえて表現されていますが、生物の種におけるほど明確な「生命のサイクル」はありません。誕生−成長−成熟−衰退−死滅、といったライフサイクルを見出せるケースもありますが、個別の組織ごとにそのパターンは大きく異なっています。

 われわれ人間の場合も一旦成人になると、意識して行動しない限りなかなか変化を起こしにくくなります。外見的成長が止まるのと相前後して内面の成長が止まってしまう傾向にあります。

 個人が「変われない」ことからいろいろな不都合が生じていますが、組織の場合は「変わらない」「変われない」ために、時によると”突然死”のような悲劇に見舞われることがあります。大きな組織であればあるほど、その被害、悲劇は大きくなります。

 変われない組織が経験する悲劇には、@おごりが招く挫折 Aパラダイムシフトを見逃す Bカリスマリーダーの落日 があります。

@おごりが招く挫折
 「業界NO.1」や「名門老舗企業」に見られるケースです。長年業界に君臨してきたことから、お客さんの意見や感じ方より、自社の意見や考えの方が正しいとの思い込みを抱いたり、自社の都合をお客さんの利益に優先させる処置がまかり通っている、という実態があります。その姿勢が事故や事件をきっかけに公になったときには、世間のひんしゅくを買い、お客さんの信用を一気に失ってしまいます。

Aパラダイムシフトを見逃す
 その組織が成長発展を遂げた原動力になった環境やビジネスの仕組みがすでに通用しなくなったにもかかわらず、「過去の成功」にとらわれてそこから先に進めなくなっている組織に見られる現象です。変化する事態への対処が遅れる結果、取り返しのつかない状況になります。

Bカリスマリーダーの落日
 一代で大企業まで育て上げたワンマンかつカリスマリーダーの支配する会社でしばしば見られる状況です。大企業であるにもかかわらず、経営的判断や決定の権限はそのリーダー1人に集中しており、長年の習慣から役員も含めてリーダー以外の社員は、考えたり自ら行動したりせずにトップの指示に”忠実に”従う状態になっています。カリスマリーダーが、@やAの過ちを犯せばそれが直ちに組織の失敗につながってしまいます。

 「変われない」「変わろうとしない」組織の行き着く先には、これらの悲劇が待ち受けています。

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